春風亭勢朝という噺家

春風亭勢朝という噺家

私と落語の出会いは、さかのぼる事うん十年前、講談社の某雑誌の取材で
今は亡き「桂 三木助師匠」のインタビュー写真を撮らせていただいたのが始まりだ。
三木助師匠の当時のマネージャーさんが私の撮った写真を気に入ってくれて、そこの事務所所属の落語家さん全員の宣材写真をお願いされたことがきっかけで、
その後は落語協会のお仕事もいただき、主にいま現役で活躍されている脂ののった真打落語家である方々がちょうど二つ目時代に、もっともたくさん写真を撮らせていただいていたのである。
その中で、当時ひときわ異彩を放ち、そして私の笑いツボにポン!とハマった落語家さんがいた。
それが春風亭勢朝さんだ。
勢朝師匠は二つ目時代からいまだに写真を撮らせていただいている私のお得意様であり、ダジャレの会(毎回師匠からのお題をいただき、各自ダジャレを作って発表するという大人の?飲み会)でもご一緒させていただいている。

笑いとは料理と一緒で、上手か下手かはもちろんあるにせよ、あるレベル以上行けばあとは個人の好みの問題で、好きか嫌いかだと私は思う。
勢朝師匠の落語を料理に例えると、生まれて初めて口にした国籍のよくわからない手の込んだマニアックな料理といったところか。(師匠、これは誉め言葉です!)
なかなか見てくれからして一癖ありそうだけど、恐る恐る食べてみたら…
“あらまぁ美味しい!”
ちょっとスパイス効いているけど不思議と後を引き、またすぐに食べたくなるのである。
しっとりと普通に懐石料理(古典落語)でも堪能しようと思ってお店(寄席)に行く人は、勢朝師匠のメニューにはお決まりの懐石料理はないので注意が必要だ!
前菜(まくら)は、よく切れるナイフの如く鋭い感性で客の脳細胞を躊躇なく刺激し、サイドメニューで笑いがドッカン、ドッカンと立て続けにやってきて、もうこれで大満足!腹いっぱいとお腹を抱えていると、締めにメインディッシュの古典落語が待っていたりするので油断ができないのである。

マニアックで通好みの勢朝落語を味わううえで心がけておくとよい3つのこと。

① 話のどこまでがホントでどこまでが嘘なのかよくわからない。(見分け方は鼻水を手ぬぐいで拭いていたら8割がたウソ)
② 間(ま)が独特!変な間。慣れると、この変な間が病みつきになる。
③ 楽屋ネタの帝王なので、あらかじめ歴代の名物落語家をチェックしておくとより楽しめる。

近日の勢朝師匠の落語会  9月28日(木)池袋演芸場 「高度勢朝の会」18時30分開演

そんな勢朝師匠が最近なにやら面白そうなものを出してくれたので紹介したい。
堅苦しい格式ばった落語はとっつきにくい!そんな人の為に勢朝師匠がゆるーい
テイストの落語ラジオコンテンツを作ってくれたようだ。

以下、【でじじ(digigi)オーディオブック春風亭勢朝のいいかげんな落語】で検索!

 

 

 

 

 

春風亭勢朝 パンローリング
ダウンロード販売 MP3 23分 3ファイル 2017年9月発売
540円 すぐ発送

[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語1「金明竹」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語2「紀州」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語3「子別れ」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語4「荒茶」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語5「子ほめ」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語6「たいこ腹」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語7「お血脈」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語8「たらちね」
[オーディオブック] 春風亭勢朝のいいかげんな落語9「ねずみ」

<おまけ>
昨年から始まったNHKの「超入門!落語 THE MOVIE」というTV番組をご存じだろうか。
毎回いろんな噺家さんの古典落語を役者さんが口パクでアテブリ芝居をするという、
本来は脳内エンターテイメントであるはずの落語を、あえて映像化した番組だ。
自分がこれまで頭の中で持っていた落語のストーリーのイメージを、具象化されるのを
見るというのが、それはそれでこんなにも楽しいものだとは!
そして役者陣がこれまた凄く良いのである。
落語に出てくる登場人物になりきっていて、役者さん自身も楽しんでやっているように見える。本当にアテブリがうまいのだ。
落語をちゃんと聴いたことのない人もこれまで落語というものに一切縁がなかった人も、
初心者からマニアまで老若男女が楽しめる番組構成だ。
不定期にしか放映されないため、気にかけていないと見逃してしまうのだが、
この10月にシーズン2がスタートするらしく、今から秋の夜長が楽しみである。